相続放棄をしないとどうなりますか?

最終更新日:2021年04月28日

相続放棄をしないとどうなりますか?

1 なぜ相続放棄をするのか

 相続放棄は理由不問の手続き(法律上、理由は要件とされていない)です。

 もっとも、実際には何らかの事情があるからこそ、相続放棄をされるわけです。

 多くの場合、①被相続人にめぼしい財産がなく、借金がある(またはその可能性がある)、②被相続人やほかの相続人と疎遠・不仲であり、相続に関わるつもりがない、③ほかの相続人が家業を継いでいるので、親の財産をすべて当該相続人に集約したい、という動機があって相続放棄をされます。

 相続放棄をしなかった場合、これらの動機となっているご希望が叶わなくなる可能性があります。

 具体的にどのようなことが起きるかを、以下説明いたします。

 

2 被相続人に借金がある、またはその可能性がある場合

 この場合、当たり前のことかもしれませんが、相続放棄をしなかった場合には、相続人は支払う義務を負います。

 相続人が複数人いる場合は、それぞれ法定相続割合に相当する分について、支払う必要があります。

 恐ろしいのは、被相続人の借金の全貌がわからない場合です。

 何年も経過したのちに、突然貸金業者から支払い請求がされる可能性もありますし、連帯保証人になっていた場合は主債務者が破産して初めて請求がされることもあります。

 あらかじめ相続放棄をしていれば、後になって支払い請求がされたとしても、対処が可能になります。

 

3 相続に関わるつもりがない場合

 被相続人が亡くなった場合、相続放棄をしない限りは、相続関係からの離脱することはできません。

 被相続人が亡くなると、相続人が遺産を取得するためには、遺産分割協議を行う必要があります。

 遺産分割協議は、すべての相続人が行わなければならない手続きであるので、何らかの形でほかの相続人とコンタクトをする必要があります。

 完全に無視していると、遺産分割調停を提起されてしまうこともあります。

 また、一切相続財産を取得しない旨の返事をしたとしても、被相続人に債務があった場合、法定相続割合に基づく部分については支払う義務が残ってしまうこともあります。

 ※参考リンク:相続人の範囲と法定相続分/国税庁

 

4 相続財産を特定の相続人に集中させたい場合

 相続財産のうち、預貯金や不動産など、プラスの財産を特定の相続人に集中させることは、遺産分割協議で可能です。

 ところが、被相続人の負債も同時に特定の相続人に集中させることはできません。

 貸金債権は可分債権であることから、各相続人に法定相続割合に基づいて相続されてしまいます。

 相続人間で、特定の相続人が負債を負担すると決めても、お金を貸している側には通じないのです。

 これを回避する方法は2つあります。

 1つは、債権者との間で免責的債務引受という契約を締結し、特定の相続人に他の相続人の債務を集約するというものです。

 ただし、この手続きは、債権者が合意しないとできません。

 もう1つが相続放棄です。

 相続放棄は、はじめから相続人ではなかったことになる手続きなので、特定の相続人以外の相続人が相続放棄をすれば、自動的に特定の相続人に負債が集約されます。

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